Psyclon Nine-Icon of the Adversery
Psyclon Nineはマジでヤバい。インダストリアルとブラックメタルが高い次元で融合してる。Psyclon Nineを聴かずに現代のインダストリアルメタルシーンは語れない、そう思うほど。
このバンドはボーカルのNero Bellumくん(めっちゃカッコいい)が絶対的な主導権を握るバンド。2ndまではアグロテック(アグレッシブなテクノ)をやっており、それはそれでカッコいいのだが個性があまり無かったとも言える。しかし3rdでブラックメタルを大胆に取り入れ、4th、5thとメタル色を強めて圧倒的に個性的な音になった。もともとエレクトロをやっていた人がメタルになっていくというのはMinistryを思い起こさせるが、やはりインダストリアルメタルはメタル畑の人がインダストリアルを取り入れることの逆の方が良いのだろうか。
このままメタル路線を貫いていくのかと思われる中で今年発表された6thアルバムになるが、メタルっぽい曲のヤバさは前作より凄いが、全体を通せばNine Inch Nailsの2ndとかSkinny Puppyのみたいな暗黒インダストリアルの印象が強い。この路線転換は良いと思う。多分このままヘヴィになり続けたら普通のメタルだし……
というわけで全曲レビュー行きます。
01.Christsalis
SEのような曲だが、俺は初聴の時この曲の時点で凄いアルバムだと思った。キリスト教という意味の曲名だが、不穏すぎてこの先への期待でワクワクしてもう……
02.Crown of the Worm
50秒ほどダークアンビエントっぽい音が流れ、キタ━(゚∀゚)━!って感じでテケテケ打ち込みバスドラムが炸裂する。これだよこれ!5thのヘヴィ路線を受け継いだような曲!ボーカルはアグロテック時代から全く変わらない声で叫び続け、不穏なシンセが鳴る。最高!
03.The Light of Armageddon
個人的ベストトラックです。どんなもん食ってたらこんなドラムパターン思いつくんだよってリズムで突き進んでいく。Skinny PuppyのFascist Jock Itchっぽさもあるかも。Psyclon Nineの動の部分の集大成みたいな曲で、これといった展開もないんだが、むしろそういう無機質なところが最高。
04.Beware the Wolves
ここから賛否両論かもしれない。メタル要素が薄れてインダストリアルが前面に押し出されてる。ダークアンビエントっぽい音作りと言えばそうかもしれない。とにかく不穏で、やっぱりこの辺も一番キレてた時期のSkinny Puppyっぽい。
05.Warm What's Hollow
正直さっきの曲と同じに聴こえる……だけどこっちの方がアグレッシブかも。こういうことも出来るんだぞという自慢かな?分かるよ。そういうことしたくなることもある。
06.Behold an Icon
SE。余談だけどMUSEのPropagandaって曲がちょっとこんな感じのインダストリアルっぽかった。
07.When the Last Stars Die
これも不穏インダストリアルなんだけどギターの鋭さが凄い。重いんじゃなくて本当に鋭い。ギターの登場とともに盛り上がって、こういうオルタナっぽい激しさもいいなという感じ。やっぱり展開は少ない。だがそれがいい。無理にドラマチックにする必要なんてねぇんだ……
08.And With Fire
これもかなり好き。というのも完全にNine Inch NailsのReptileのオマージュなので。ズンズンと腹に来るベースフレーズとかサビの盛り上がりとかがそうです。なんかそう考え始めるとシンセの音も意識してるように聴こえてきた。
09.Give up the Ghost
SE、というよりインスト。暗いけどかなり綺麗な音で3分ぐらいある。逆再生の音が不気味さを出してて良し。
10.The Last
バラード……バラードか?囁くようなボーカルが厭世っぽさを漂わせてる。ギターが入るもボーカルのテンションは変わらず。アルバムの締めに相応しい。曲が終わると10分ぐらいSEが。この辺もSkinny Puppyだな〜。
どうだろうか。これは多分2018年のベストアルバムになり得る。ストリーミングでも聴けるので絶対に聴いてほしい。