分からん、なにも……

オタク・レビュー

Rosen Kreuz- Volume Climax

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今回レビューするのは90年代前半に活動していた日本のバンドの解散ライブを収録したライブアルバムです。

 

このバンドは時代を先取りしすぎた感があります。質の高いインダストリアルメタルなんですが、1stアルバムが90年で解散ライブが93年7月23日です。よく考えてみてください、大流行してその後何年間かをインダストリアルで染め上げたMinistryのPsalm 69やNine Inch NailsのBrokenが92年のアルバムです。ということはそれらの作品より前からインダストリアルメタルをやっているということになります。Ministryがインダストリアルミュージックにギターを取り入れたThe Land of Rape and Honeの2年後にこの音楽性でデビュー。先見の明がありすぎではないでしょうか。日本の音楽の流行は海外の10年遅れという説があり、実際80年代にゴシックロックが流行った10年後に耽美な音楽性のビジュアル系が流行っています。そういう中でこの音楽性は何度も言いますが早すぎたんです。まあルックスはX JAPANっぽいんですけどね。よく聴くとMinistryよりもパンクやハードコアの要素が強いように聴こえます。メタラーがインダストリアルを取り入れたタイプのバンドかな?と少し聴くと思うのですが、ベーシストのYOU-MIは解散後Def.Masterというバンドを組み、そのバンドがかなりインダストリアルに寄った音楽性なので、MinistryやPsyclon Nineとは違いメンバーの音楽性がバランス良く発揮されたバンドだということが分かります。

 

1曲目のLoud Sonic Chainsaw Your Machine Extacyを再生すると「今日で本当に最後です盛り上がってください」という声が……冷徹で凶暴な音楽性なのにそこ敬語なんですね。育ちの良さが出てるぞ。ギャップ萌え。曲名が表すようにチェーンソーの音が鳴り響く曲です。チェーンソー!エクスタシー!って叫ぶのがいいですね。音は凶暴ですが結構キャッチーです。

 

これぞインダストリアルメタル!というリフで疾走しギターソロもスピード重視の6曲目Madmans Revengeから打ち込みの音を混ぜ、これ以上ないほど暴力的な音を出す7曲目のBlusterがライブ一番の盛り上がりどころな気がします。

 

全体を通して冷徹で残虐な音で好きな人にはたまらないとは思うのですが、似たような曲が多く聴こえるので点数は87点ぐらいです。しかし日本のバンドってだいたい湿った感触があるのにここまで乾いた音を出せるのはこのバンドしかいないでしょう。

 

当然のようにストリーミング配信はされてないしプレミアがついてしまって求めにくいアルバムですが、この記事を書いている2018年12月現在メルカリで3千円弱で1つだけ出品されています。メルカリをやっている人はもちろんやってない人はこれを機にメルカリを始めて急いで買うことをオススメします。多分これからもっと高くなるので。