分からん、なにも……

オタク・レビュー

ALTAIS/APSARA-ARCHIVES

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突然ですが、フランスで一番ヤバいバンドを聞かれたらなんと答えますか?Peste Noire?NKVD?俺はShub Niggurathだと思います。Shub NiggurathというバンドはKing CrimsonファンのギタリストとMagmaファンのドラマーが組むとどうなるかという良い例で、ロバート・フリップのようなロングトーンギター(と言っても結構フリーでロバート・フリップ灰野敬二の間ぐらい)が暴れまわり、暗黒系っぽいアンサンブルとZEUHL特有のリズム隊の物凄い強度を持った演奏の上をイタコのようなボーカルが不気味に歌うというもので、これをヤバいと言わずに何をヤバいと言うのかというバンドです。

 

そんなShub NiggurathのギタリストFranck W. Fromyと彼がその後組むUnit Wailというバンドでサックスを吹くVéronique Verdierが在籍した、いわばShub Niggurathの前身バンドとも言えるのがこのAPSARAとALTAISです。APSARAの83年発表5曲入りスタジオ&ライブ音源とALTAISと改名してからの86年発表3曲入りシングルの2枚組が今回レビューするアルバムです。どうやら2015年にSoleil Zeuhlから全世界500枚限定でビニールケースに入れられて販売されたものらしい。なんでこんなもの持ってるんだ?

 

内容はというと、Shub Niggurathほど邪悪さが無く聴きやすいかな〜と思います。実際ボーカルもイタコっぽさがあまりないしギターもそこまで暴れてるわけでもない。Magma的な変な音楽の要素が強く出ています。もちろんリズムが強靭なんですが、ヴァンデほどの技巧もなくあまり重くもないです。聴きやすいけどあまりパッとしないというのが正直なところでしょうか。インパクト抜群とはいえLes Morts Vont Viteから既に聴きにくく、C'etaient De Tres Grands VentsやTestamentで完全にリスナーを突き放すShub Niggurathとは大違いです(Shub Niggurathのそういうところが好きなんだけど)

 

APSARAの1曲目Enfer Maisはスタジオ音源で、あまり音量が大きくなくて暴れてる感は薄いけどたしかに裏の方でフリップ感溢れるノイジーロングトーンギターが鳴ってます。かなりカッコいい。

 

3曲目En D'Autres Lieuxはライブ音源で、ヴァイオリンのイントロに絡む金属的なギターが異常性を醸し出しています。くぅ〜、King CrimsonのLamentみたいな印象かな。そこから激しくなり、Magmaの重い曲みたいな印象になります。そしてベースの音がエグい、エグすぎる。これ本当にベースだけで弾いてるか?チェロとかも一緒に弾いてんじゃねえの?って感じの音です。チェロとベースを合わせると凄い音になる(Redの落ち着いてる部分とか)ヤバいね。

 

5曲目のIci Et Maintenantもライブ音源。ちょっとShub Niggurathに通じるところがある。不協和音だらけのパートを抜けると、なんか映画のサントラっぽい展開になります。もしかしたらちょっとドラムの音が小さいのかもしれない。もうちょっと大きかったら良くなるかも。けどベースの音のエグさはこの曲でも凄い。

 

ALTAISの1曲目Altaïsは風が吹くSEと女ボーカルで始まり、かなりMagmaっぽいフレーズと男の声が入ってきます。これは完全にMagmaだ……展開もMDKっぽいように聴こえてきた。テンションがかなり高く、不気味さが前面に出てるAPSARAとの区別化も容易にできそう。

 

2曲目のPromenade...はUnivers Zeroの短くまとまっててテンションが高い曲(これで伝わる人いるか?)みたいなピアノが印象的。やっぱり変な音楽って感じだな〜

 

こんな感じです。残念ながらこのアルバムはストリーミングでは配信されてないのでみなさん頑張ってCDを購入してください。